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シベリア鉄道9300キロ
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楽しさが・・・ ( 2008-10-04 )
旅行記というよりは報告書を読んでいるような印象を受ける内容だった。
鉄道に揺られる旅だからか、旅で出会うエピソードが乏しく「●時△分に□へ到着」といった報告的な内容が多く、著者が旅を楽しんでいるのかどうかというのがほとんど感じられなかった。
旅に出る前の参考情報としては有益だけど(ここは評価できる)、読み物としての面白さには欠ける作品だった。
哀しみの裏側 ( 2008-09-06 )
シベリア出兵まで遡ると笑われるかもしれないが、子どものころに聞いた父親のシベリア抑留体験の話は強烈だった。その延長線上で読んだ内村剛介や石原吉郎のシベリア、これにソルジェニーツィンの『イワン・デニーソヴィチの一日』、文学好きならチェーホフのシベリア旅行などが加わると、ぼくの世代の標準的なシベリアイメージができあがる。奪われる苛酷さ、取り戻す厳しさ、取り巻く巨大な自然に、イデオロギーという青春の夢をないまぜにした、エキゾチックな放浪を誘うシベリアだ。
五木寛之や宮脇俊三はそういった旅愁を文字にした。ならば2005年の蔵前仁一は何を文字にできたのか、あるいはできなかったのか。この本を今風の情報パックとして読んではいけない。むしろ、著者が経験したくてできなかったことの中に、隠れた過去と今のロシアの違いを見るほうが面白いと思う。ロシア人の中古車ブローカーでいっぱいの伏木港、ハバロフスクに向かう車中に流れる欧米のロックまがいのポップミュージック、モスクワとの距離を示すキロポストも、日本橋に向かう中央高速の里程標識と同じようによそよそしい。
この平板さの先に何があるのか。著者は黙して語らないが、その真情は、選び出された「シベリア鉄道車窓ベスト10」に端的に表れていると思う。バイカル湖、東シベリアの集落、丸太小屋、ヴォルガ河と、グローバリズムなんかとはまったく無関係の、昔ながらの懐かしい風景ばかりなのだから。そう言えば、松本隆・大滝詠一の『さらばシベリア鉄道』もこういう一節で始まっていたな。――哀しみの裏側に何があるの?
しょぼい写真 ( 2008-08-05 )
富山高岡市・伏木港からロシア極東のウラジオストクまでルーシー号という船で行き、そこからモスクワまでのシベリア鉄道の旅が始まる、しかし、仕事かもしれないが、あまり嬉しくなくそのいやいや行った感がミエミエの取材記である。旅行記ではない。
そもそもロシア語が話せず、また読むこともできないのにシベリア鉄道に乗り込むこと自体が無謀である。現地の言葉がわからないというなら、旅行そのものが楽しめないし、案の定、撮っちゃあいけないところで写真を撮ろうとするなど現地官憲とのトラブルが頻発している。
もっともその撮った写真そのものが、ごらんのようにピンぼけなのだからどうしようもない。
小川京子ちゃんが担当している食事のあれこれでは、せめて現状のルーブルの換算レートとか、肝心の料理の味加減をもっと詳しく書いておいて欲しかった。
ISBN-10: 494770263X
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Last modified: 2008-12-02

