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ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)
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カスタマレビュー
私利の追求が世界の貧困撲滅に貢献するには ( 2008-12-28 )
発展途上国で貧困層相手にビジネスする方法についての本。途上国の貧困層は所得が少ない。また先進国で売られているような高機能の商品への関心がない。したがって、貧困層向けのビジネスは利益を生みにくく、成功しない。貧困層は福祉の対象であって、ビジネスの対象ではない・・・。
本書は上のような先入観に対して批判を加える。つまり、途上国の貧困層向けのビジネスは、先進国の大衆向けのビジネスとはやり方が異なる。そのやり方さえ押さえられれば、成功することもできるのである、と。そのやり方を多くの事例研究から引き出してくる。結論は最初の200ページ弱にまとめられている。それ以降は事例の詳細な提示である。したがって、冒頭の200ページだけを読んで論点をつかむという読み方もできる。
だが、著者の狙いは単に貧困層でビジネスをして利益を上げることにあるのではない。著者は、私利を追求する資本主義的企業にも、貧困の解決に向けてできることがあるのではないか、と問うている。貧困層を資本主義的に搾取する方法ではないのである。企業は私利を追求するのだが、それが(神の見えざる手によらず)貧困の解決に寄与することができる。それが著者の主張である。
したがって重視されているのは、貧困層の人間が自主的になることである。企業家精神、イノベーションを貧困層にもたらすことである。例えば、農村地域にコミュニティを作らせ、地域からリーダーを選んで販売網に組み込む。こうして単に商品を売りつけるのではなく、雇用を創出し、ノウハウを付与する。著者によれば、このような試みが貧困層に自主的に考える機会を与える。そしてそれは地域の経済の改善へと向かっていくのである。
もちろん、すべての途上国でこのようなことが可能であるわけではない。何よりも、企業が安全に活動できるような治安やインフラが必要である。それが欠けている地域−−例えばソマリア、コンゴ、ハイチ、パレスチナなどだろうかーーでは著者のアプローチが不可能であることは、著者も認めている。
一見、企業にはこんなリスクを取る必要があるのかと思ってしまう。途上国の貧困層向けビジネスは困難な試みである。いくらそれが貧困の改善に寄与すると言われても、大きなリスクであることに変わりない。しかしここには思いがけぬリターンがあるのだ。途上国の貧困層は、「製品やプロセスだけでなく、ビジネスモデルそのもののイノベーションを起こす源泉にもなる」(p.100)のである。
必読書!! ( 2008-06-11 )
本書はベストセラーだけあって、ビジネスマンであれば読まなくても大筋をどこかで見聞きしているというのが多いのではないでしょうか。私もその一人でした。読まなくても自分は理解していると思っていました。
本書を読んだ感想は、そういった先入観が間違ったものだということでした。企業のサクセスストーリーが羅列された本ではなく、BOP(経済ピラミッドの下層)市場でビジネスをするために必要な戦略が「イノベーション12の原則」として分析されていました。事例も細かく書かれており、ビジネスマンも研究者も楽しめる本だと思います。
潜在的市場の価値 ( 2008-05-30 )
「貧困層」を「顧客」に変えるための基本的な考え方と、実例を示した本。
ウォートン経営戦略シリーズ。
前半は、低所得で購買力の低いとされている貧困層を潜在的市場とみなし、
基本的なアプローチと開発方法が述べられている。
後半は、成功企業の実例が紹介されている。
興味深かったのは、貧困層の市場を開発するにはwin-winの関係を築くためのシステムを
ゼロから構築する必要があるという点。
先進国諸国の常識にとらわれないシステム構築の実例は、非常に興味深かった。
常識に縛られた市場や顧客に対する考え方を、
良い意味で打ち壊す一冊だ。
真にクリエイティブな本 ( 2008-02-10 )
誰かから教わったわけでもなく、
自分でロジカルに検証したわけではなく、
「貧困層は利益があがらないマーケットである」
「貧困層から利益をあげるなんて搾取に近いものがある」
と無批判的に信じ込んでいた情けない自分に、
思考の方向転換をもたらしてくれた本でした。
ちなみに…
日経ビジネス2008/2/11号の「世界鳥瞰」の記事に、
ビルゲイツが2004年に著者のプラハード氏に会って、
援助だけでは貧困問題対策への限界を感じていたところから、
大企業は貧困層に製品を売り、ともに働く方法を見つけるべきだという
考え方に変わっていったことが書かれています。
本書に書かれているとおり、
貧困層を顧客に変えるためにはイノベーションが必要で、
実現することに様々な困難が伴うことは確かだと思いますが、
本書の豊富な事例、深い洞察、自尊心を持つことができた貧困層の方の声により、
チャレンジしがいのある課題であると認識することができました。
そんなわけで★5つの評価です。
なお、付属CDのビデオは他のレビューアーの方が書かれているとおり、
日本語字幕の表示が可能です。
表示方法については付属CDをPCに入れたときに立ち上がるWebサイトに記載されています。
我々の常識を捨てることから ( 2007-05-05 )
本書は、貧困層(BOP)といわれる人々に対して、これまでの「援助」や「保護」ではなく、消費者すなわちビジネスの対象という視点から、解決策を試みたものである。
しかし、1日の生活費が2ドル未満の彼らに対して、先進国を前提としたアプローチは通用しない。BOP市場という新たな前提を受け止め、常識を捨てるところから始まる。また、このアプローチでは「貧困層の彼らを個人として尊重し、自らが選択し、自尊心を養う機会を創出することが大切」という点も参考になった。
本書では、これらの試みを実践している企業の事例が数多く盛り込まれており、読んでいて飽きることはなかった。
政府のODA援助も、このような企業と連携して行うことも視野に入れてはみてはどうか。
一方、このビジネスモデルは市場規模が大きいことが前提であり、全ての貧困国に通じるモデルではないことも忘れてはならない。
格差が広がる(?)日本市場にとっても、本書の取組みが示唆することは多く、今後のマーケティング戦略の参考になるかも。
書籍の値段は約3000円と若干高めであるが、得られるものは少なくない。
ISBN-10: 4901234714
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Last modified: 2009-01-09

