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日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

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日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)
イザベラ バード
平凡社
発売日: 2000-02
価格: ¥ 1,575 (税込)
発送: 通常24時間以内に発送


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カスタマレビュー

4 東洋のアルカディアに生まれて ( 2008-06-21 )
彼女にとっての「未踏の地」は、すでに何世代もの人々が歴史を築いている。
彼女はその歴史に触れる。僕らはそれを読み、喜びと、不快とを同時に受けることになるだろう。
彼女の感想は、西欧的だった。それは、今の僕らの感覚に近いだろうと思う。

文明開化、戦争、敗戦、高度経済成長、バブル崩壊。
時代を超えて、今の日本は確かに彼女が理想的だと思うような、技術や、生活が生産されただろう。
だが同時に、彼女が感嘆の声を上げた諸々の美しさは、もはや失われつつあるだろう。

彼女がアイヌを訪れる章は、日本人が失ったあらゆる素朴さを考えさせられる。
「祈りが空を穿つことができない世界、天の扉がすべて閉じられ、ただひとつ開いているのは傷つけられたものの涙が通る扉だけであるような世界、そのような世界について彼らが語るとき、彼らが教えているのはおそらくそのことである。」-レヴィナス-

5 ただ者ではない観察力と詩的表現力 ( 2007-11-22 )
・ 本書は、著者が妹へ送った手紙をもとにまとめたもの(明治時代の国際郵便事情に感心する)。日本語がわからない人間によるものとはにわかには信じがたい驚異的な情報収集力。後で加筆はしたのだろうが、一日当たりの執筆量が多い。外国人ならではの間違いはあるのかもしれないが、私が気付くものは皆無。
・ そもそも中年スコットランド人女性が、元々の知り合いの同行無し(日本人青年を雇った)に、約130年前の日本の奥地を旅した行動力に、感動と若干の呆れ。病気、詐欺、強盗など様々な危険があったろうに。本人は予想していたであろうが、豪雨などの苦難に見舞われている。
・ 一旦見学を断られた病院に、文書で許可をもらって再度訪問するなど、かなりの厚かましさも見せている(私も見習おう)。しかし、彼女のたくましさのおかげで、私はこうして過去の日本の状況を、客観的に詳しく知ることができるのである。また、師範学校、絹織工場も訪問している。
・ 当時の地方の日本の不潔さなどが、たびたび描写されている。私は何度か発展途上国を旅したことがあるが、それから類推すると真実だと思われ、貴重な情報である。
・ 日本人、アイヌ人文化の詳細な調査のみならず、自然の観察とその詩的な表現も高水準で、本書が未だに読まれていることに納得する。

・ 挿絵がいくつかあるのは長所だが、一方、不満な点は地図が無いことと、漢字の振り仮名の少ないこと。旧名が多いので不便であり、出版社の配慮は不足している。

5 東北日本の原風景 ( 2007-08-05 )
当時の東北地方の山村の生活がいかに文明とはかけはなれたものであったか、それが生々しいほどに描写されている。また、本の後半の大部分を裂いている北海道での探検では、北海道の雄大な自然とまだあちこちに自然の暮らしを営んでいたアイヌが詳しく書かれている。世界中を旅したバードだが、北海道の自然とアイヌのすばらしさには心底惚れ込んだようだ。明治の日本人の風俗や、北海道や東北の自然に興味のある人はきっと楽しめる本だと思う。

4 ミクロで読むと立派な郷土史資料 ( 2007-02-24 )
この書の価値は、マクロで見ると当時の日本の世情を知ることができるという評価が多いと思います。
そのような読み方に併せてミクロで地名別に細かく読んでいくと、
例えば、自分の住んでいるところの明治時代の状況がかなりのリアルな描写でうかがい知ることができます。
さらには、明治初期にあってのアイヌ民俗についても非常に詳細な報告をしています。

イザベラ・バードは、極めてイギリス的様式を標準として、それとの乖離から評価してしまうのですが
その宿の状況や宿屋主人の人となり、民俗などが伺えるもので、
そういう意味では、郷土史資料として、文化人類学の参考書として、また、隠れた1級品の資料だとも評価できます。

5 記憶にとどめやすい一冊 ( 2007-01-11 )
外国人による開国後日本の紀行文は数あるが、バードのこの作品は代表的な物として著名。
明治11年日本を訪れた彼女は従者一人を連れ、
江戸から日光、鬼怒川から会津、新潟、山形、秋田、青森、北海道へ至る。
現在の国道に比定するならば、
R4⇒R119⇒R121⇒R49⇒R113⇒R13⇒R7⇒R5⇒R36⇒R235⇒R237
というルートが最も近いと思われる。

鉄道導入期にあった当時の日本では道路整備は後回しにされていたと言われており、
特に山間僻地での道路状態の酷さについて、バードはつぶさに触れている。
その一方で、三島県政下にある山形県内で囚人使役による道路改修が行われていた事、
北海道での札幌本道整備過程の様子が記述されている事など、細かい記述も見落とせない。

また当時の山間部の衣食住・衛生状態・文化について、
日本人では気づかない面についての記述があり、史料価値は高い。
特に印象的なのは日本人の物見高さで、初めて白人女性を見た人々は群をなして
”見物”し、将棋倒しで怪我人まで出る始末。
彼女の泊まる宿の障子の穴から、無数の目が覗いていたという記述も面白い。

北海道の平取まで足を伸ばした彼女は、アイヌコタンにしばらく留まり、その生活を記録している。
義経神社に関する記述と、当時のコタンコロクルと思われるベンリの微妙な応対に、
何事かを示唆する物があり興味深い。

明治激動期にある日本の奥地までつぶさに描いた紀行は多くはなく貴重。
素直な彼女の好奇心が読者にも伝わり、紀行文としては記憶に留まり易い著作と言える。
この作品の一節が引用されることが多い事からも分かるように、
国内紀行作品の中では必ず押さえておくべき一冊である。

ISBN-10: 4582763294

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Last modified: 2008-12-03

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