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ブータン仏教から見た日本仏教 NHKブックス
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カスタマレビュー
著者の主張に多くの点で賛同できるが ( 2007-08-08 )
わたしは浄土真宗の檀家の出です。かつて著者と同じことを考えていました。なぜお経を漢文のまま読むのだろうかと。大多数の日本人にお経の意味はわからず、ありがたい呪文のように受取ってきただけなのではないか。日本は本当に仏教国だったのだろうか。こんな疑問をいろんな人にぶつけましたが、まともな返答をくれる人はいませんでした。だからこの本を読んで、ようやく真摯な返事をもらったようで嬉しくてしかたありませんでした。
結局、日本にあるのはインドで生まれた仏教ではなく、先祖崇拝に取り込まれることで、外来宗教である仏教は定着できたのだと思います。その証拠に、個人の家庭の仏壇に祭られているのは、東南アジアやチベット仏教圏ではブッダですが、日本ではその家のご先祖様です。また輪廻転生を信じるチベット仏教圏では、49日と1周忌くらいはやるものの、それをいつまでも繰り返したりしないという著者の指摘には考えさせられました。10周忌までやるのは仏教とは無関係の先祖崇拝の行事です。
しかしここから先は、わたしと著者の考え方は違います。かつてチベットは軍事強国でした。しかし仏教を国教にして以来、少なからぬ成人男子が出家するようになり、子供も作らず経済活動もしなくなり、ついには国力の深刻な低下を招くようになりました。この点を著者は触れておらず、仏教が厭世的だというのは誤解だと主張しています。
そしてついには、中国の属国に成り下がってしまいました。たとえブータンやミャンマーのように独立を保っても、仏教の厭世的世界観に取り込まれ、近代化も遅々として進まず、世界情勢から取り残された桃源郷のような国になっています。それが理想の仏教国家だという著者の視点からは、たしかに日本仏教の現状は批判の対象になります。しかし日本には真の仏教が定着しなかったため、急激に近代化が進むなどダイナミックな日本史の展開が可能になったとも考えられます。
「日本仏教」がおかしいと思いませんか ( 2006-08-14 )
この本に出会えて良かった。
著者は浄土真宗の檀家の家に育ち、私は日蓮宗と宗派は違えど、持った疑問は同じようであった。「仏教徒であるなら、日蓮に教えを請うよりお釈迦様に」と思ったことは、間違いではなかったのだ。
大半の日本人は、「寺に骨質を取られている」(墓がある)から仏式の葬式をあげる。念仏やお題目を唱えるが、意味を知らない。これが正しい信仰のあり方かと、問うている。「家庭があり妻子があるから相談を親身に聞ける」という詭弁を弄する日本の坊さんだが、同レベルではなく、より高いレベルからの導きをするのが「本来」の坊さんの位置なのではないだろうか。
「『本来』にそれほどこだわる」のではなく、「それがあるべき姿」なのである。大河の源は、一筋の清らな流れである。河口が濁っていても、「生きた現実が最も尊い」と何もせずにいられるだろうか。本書は、息苦しさに慣れ過ぎた魚に、岸(外側)から「濁り(清らかではない)」を教えてくれる良書である。
著者は研究者であるが故、「外側」からより客観的に比較できたのだと思う。敬虔なる仏教徒では、ここまで冷静には引用などもできないのではないだろうか。恵まれた立場で、正に「縁」を感じるところでもある。
私は、菩提寺に墓参に行った際挨拶をしても返してくれなかった住職に、この本をプレゼントするつもりだ。父は何百万ものお布施をしているが、「ありがとう」と言われたことは一度も無い。だから私は、きっとあの墓には入らない。
かつて見た光景 ( 2005-11-13 )
かつて、渡辺照宏という著名な仏教学者が岩波新書で「仏教」「日本の仏教」という二書を著し、「日本にある仏教は釈迦の教えから逸脱し、もはや仏教ではない」と批判したことがあった。
この本を見ているとその批判の焼き直しだなという感じはぬぐえない。(参考書籍の中には入ってなかったが)もちろんこの本で指摘している日本の僧侶の不品行や不勉強・葬式仏教への非難は的を得ているし、改めるべきだとは思う。
しかし、私にはどうしても合点がいかないことがある。この著者は自分がどのような「宗教的生活」をすごしているか全く書いていないことである。例えばゴキブリをつぶすか否かの殺生戒で玄有宗久を揶揄し、(P112)ブータン人を引き合いに出しているが己自身ならどうするか書いていない。ここで自分ならどうするか?が問われるのだが。
「本来」の「仏教」という幻想 ( 2005-07-14 )
本書にイエスというか、ノーというかで、読者の仏教観(仏教とは何か?)はおおよそ決まってくるだろう。遠くフランスの地で仏教を学びながら、大乗仏教を国教とする唯一の国であるブータンの空気を深く吸い込み、そこに仏教のあるべき姿を見出した著者が、自分の故郷である日本仏教の現状を、打つ。「お寺ルネッサンス」なる、仏教の構造改革を目指す上田紀行氏の仕事にならいながら、しかし、上田氏よりも日本仏教の「外側」から、しかも、日本仏教により批判的な姿勢で、この本は執筆されている。
同意するところ、少なくない。日本人は仏像を「拝観」し、「鑑賞」するけれども、「仏」に対する正しい態度である「拝む」という信心深さが欠けているのでは、とか、近代の学問的な仏教研究は、釈尊が恐れた瑣末すぎる言葉と思弁の探求に陥ってはいないか、とか、もっともである。
けれど、総体としては、賛成しない。日本仏教は、本来の仏教とは異質すぎる「葬式仏教」で、「戒律」がないのに「戒名」が異様な幅をきかせていて、「世襲」だから不真面目だ、といった見解、それなりにあたっているが、だからといって、日本仏教を否定する理由とはならない。それこそ、私たちが、そして過去にこの国の仏教に関ってきたすべての先人たちが、共同で創作した仏教であり、それは著者の信奉する「本来」の仏教と等価なのだから。だいたい、なぜ著者は「本来」にそれほどこだわるのか。なぜ、そこまで、もはや失われた仏教の「原理」を求め、ブータン仏教の基準で日本を切ってしまうのか。いや、そこにある種の誠実さはあり、だからこの本は読むに値するのだが、けれど、やはり、日本の生きた現実が最も尊いのではないか、と思うのである。
ISBN-10: 4140910321
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Last modified: 2008-10-08

