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サハラに死す
サハラに死す―上温湯隆の一生 (講談社文庫)
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カスタマレビュー
惜しい人を亡くした ( 2008-03-25 )
※時事通信社版
読み終えて、ため息が出た。なんと惜しい人をなくしたのだろう。高校を中退し、ヒッチハイクでの世界旅行に飽きたらずに挑んだ、サハラ砂漠単独横断の旅。あえなく熱砂の上に命を落としたが、それまでの旅程で彼は、アフリカ諸国をはじめ世界の人々と出会い、交流し、生きるための術を身につけ、数え切れないほどのことを学んだことだろう。果てなく続く砂漠をラクダとともに歩きつづけることの孤独、過酷な環境、死への恐怖。22歳の青年にとって、どれほど厳しいものだったことだろう。そんな中、自己洞察し弱い自分を反省しながら旅を続ける、上温湯青年。旅こそ人生とする冒険家も多いが、上温湯青年の描いた将来は違っていた。大検を取り大学を出、国連で人のために働きたいと思っていた。もし彼がサハラの旅を成功させて帰国したら、どんな大人になっていただろうか。じつに惜しい人をなくしたと思う。
本書は、彼の日記・手記から編まれたものである。彼の見たこと・体験したこと・考えたことに、私はいちいち感銘した。彼のとともに涙を流した。成人したばかりの青年に、私は多くのことを教えられた。この本、座右の書にしたいと思う(復刊してほしい!)。
まさか ( 2006-05-18 )
1975年に時事通信社から出た単行本の文庫化。
ラクダに乗ってサハラ砂漠を縦断しようとした青年・上温湯隆。上温湯は道程の半ばで倒れ、帰らぬ人となった。残された日記をジャーナリストの長尾三郎がまとめたのが本書。
上温湯の若者らしい夢や苦悩が直接に伝わってきて、けっこう面白く読めた。ごく普通の青年が、どうしてアフリカまで旅に出たのか。初めは疑問に思わされるが、読んでいるうちに、だんだんとサハラ縦断の意味が分かってくる。しかし、夢は中途で終わらされてしまう。
旅する際の不手際やラクダ扱いの拙さを見ると、遭難は当然のようにも思える。しかし、一編の小説のようでもあり、感動的。
若者は読むべし ( 2005-01-17 )
上温湯隆という珍しい名前に興味を持ち、読んだのは小学生の頃だった。もちろん文庫ではなく、初めて出版された1975年である。もう、30年も経っている。しかし、彼の旅に魅きつけられ、ワクワクした感じは、今も忘れない。
彼のサハラ横断というチャレンジ、それは悲愴感漂うものではなく、その先にある光を信じ、未来に向かって前進する、気高い魂の存在を感じるものであった。読後涙が出たのを覚えているが、それは彼の死を残念に思い、悲しかったからではなく、何故か彼がまだ旅を続けているように感じ、不思議に感動したからであったように思う。
彼は普通の青年であり、大人になろうとしていた。彼は、他の人が音楽に魅了されるようにサハラに魅了され、旅を続けた。彼は、普通に悩み、苦しみ、怒り、喜び、他のなによりも旅を、サハラを選んだ。命を燃やした男の子がそこにいた。特に、若い人は読んでみて下さい。
永遠に読み継がれて欲しい ( 2004-01-04 )
手に取る前はこの青年が「かなりの変わり者」なのではないか、と思っていた。高校を中退し、世界を2年半近くヒッチハイクで放浪、その後サハラ砂漠を単独で横断。それも今から30年も前、一ドル350円くらいの時代である。
しかし読み始めるとどうだろう、この上温湯隆という青年は現代の若者と同様に「自分の人生をどう生きていけばよいのか」という悩みを抱えており、サハラを制服することによって何か答を得られるのでは、という悲痛な思いを抱えながら、一人でサハラ砂漠に挑んでいるのである。
非常に厳しい旅に身を投げた彼を特別な変わり者だと思う人もいるだろうが、私は「冒険が終わったらパリでカフェオレを飲むんだ」という言葉に微笑みを誘われ、本当に彼はただ砂漠にとり憑かれた変わり者ではなく、どこにでもいる純粋でかわいらしい若者なのだ、と思った。
この本はどこのページを読んでも「良い」が、中でも彼と母親の絆の強さが描かれている箇所がいい。後の悲劇の折には目から血が出たのかと思ったほど泣いた。
永遠に読み継がれて欲しい名著であると思う。
星が四つなのは文庫版でありながら、「サハラに蘇える」という題の
彼の遺品などについての文章が未収録である点で。
旅人のバイブル ( 2001-06-28 )
この本は旅人のバイブルだ。
サハラ・アフリカに想いをはせる人のみならず、バックパックをかついで旅をしたことのある全ての人にぜひ読んでほしい。上温湯隆は冒険家でもなんでもない。ただの旅人だ。あなたの友人のなかにいてもおかしくない、旅好きの若者だ。しかし、この本にはもう数十年たった今でも色褪せないなにかがある。この本を読んで、どれだけの若者が旅に出たことだろう。彼はただの旅人。しかし世代も生まれも違うあなたを駆り立てる何かがある。旅について、生について、死について、人について、人生について、世界について、家族について、幸福について考えさせる本だ。
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Last modified: 2008-11-22


